今、施工させていただいているE様邸では、水琴窟を作りました。
もともと施工場所の近くに転がっていた水瓶(醤油などを入れていたものらしい)を発見。厚みも十分、焼きも堅く、水を垂らすと柔らかな金属的な共鳴音が出ました。
この水瓶に少し手を加え、土中に埋設します。その際、直接水瓶を土に埋設すると共鳴音がどもってしまうので、まず井戸枠を埋設し、その中に水瓶を入れます。井戸枠と水瓶の間にはグリ石を入れて、水瓶を固定します。こうすることで、水瓶とそれを固定するものとの接触面積が少なくなって、共鳴音に影響が少なくなります。
井戸枠のふたに穴をあけて、井戸枠を閉じます。ふたの穴は水瓶の口の位置にあけてあります。
今回はシンプルに手水鉢として石臼(これも施主様のお庭にあったもの)を井戸枠のふたの上に設置しました。ここから水を供給して水琴窟を鳴らします。
水琴窟で重要になるのは、水瓶そのもの質、排水などの水瓶の加工、そして水の滴り具合と音の取り出し方です。
ふたの穴から塩ビ管(VU)を挿入し水瓶の口に装着しました。ちょうどぴったりはまります。これは集水をしやすくするためです。
水瓶の口に、シュロ縄にアルミの針金を巻き付けたものを取り付け、水瓶の中央に水を誘導します。こうすることで、水瓶の側面を伝ってしまう水を、水滴として水瓶内部に落とすことができます。この細工もポイントになります。
水瓶の口に近接して竹筒をセットして、これを使って共鳴音を聞きます。竹筒なしでも共鳴音は聞こえるのですが、竹筒を通して聞いた方がより深みがあります。
最後に表面にグリ石を敷き詰めて完了です。このグリ石の敷き詰め方にも一工夫を加えると、水瓶への集水量を調節でき、共鳴音を出す時間を長くしたり短くしたりができます。
水が滴り落ちて生じる不規則な音色は、何とも言えない心地よさがありますね。日本人の繊細な自然の楽しみ方に改めて感嘆します。
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